ヨハネの黙示録13章とアメリカ・ドル・テレビ


 ドルは、ベトナム戦争を経て1971年に金本位制を捨て、さらに金融危機を前にして2006年にはM3公表もやめた。その後に顕現化した、米国発金融危機の後始末をつけるために、市場価値のつかなくなった債権を、米国連銀が買いあさり、金融機関の連鎖的破綻を「リーマンショック」の範囲にくいとめた。市場における自由競争の結果に国家が介入したという「黒魔術」が行われたが、その前に、通貨発行の分母を公表しないという黒魔術もおこなわれ、ドルはゾンビ化、癌化していった。2006年のM3公表中止を前に、Europe2020というフランスのシンクタンクが、これを機に石油取引通貨としてもドルが使われなくなり、ドルが急落するのでなないかと警告を発していて、当時から私は注目していた。このシンクタンクは、政府が、通貨総量を公表するのをやめたドルを使うというのは、「帝国税」を払わせられているようなものだといっていたが、うまい表現だと思い覚えている。国としてドル買い介入を、尻拭いのように、折に触れ際限なく行う日本は、このゾンビ化、癌化した「分母無限大」の通貨ドルの信頼性を担保している。こう考えると、日本人の生血を吸って、ドルという通貨の価値が生き延びているような気がしてならない。そして、そのドルをつかって、アメリカは対テロ戦争を続け、TPP実現のためのマスコミ対策も含めた膨大なロビー活動の力を振るい、各国の実体経済を分断し、歴史的文化的な秩序を破壊し、深刻な影響を与えている。
 こういうきわめて虚しい現実に直面すると、「貨幣商品」について、マルクスが聖書の言葉を持ち出して、深遠なことを述べていたことを思い出す。誰の力によって、貨幣商品の権力を、相手に履行しているのか?政治的、経済的な最終的な問題が、そこに集約されてくるように思う。マルクスの書いた処方箋としての共産主義には、また別の問題があるが、マルクスの行った資本主義批判は、現代においても、まったくその真価を減じていないと思う。その分析には、カントの理性批判と同じぐらいの価値が人類にとってある。それが統一教会のような「勝共」団体のような、半ば宗教的な政治勢力によって、表舞台では抑圧され、「折伏」されている。
 「貨幣商品」の出現について、マルクスの聖書引用箇所を探すと、それはヨハネによる黙示録第13章の「2匹の獣」の項にあった。「この者どもは心を一つにしており、自分たちのちからと権威を、獣(けもの)にゆだねる。この刻印のある者でなければ、誰も物を買うことも売ることもできないようになった。この刻印とは、あの獣の名、あるいは、その名を表す数字である」これは、極めて意味深な文章である。以下に、13章全体を引用するが、一匹目がアメリカの背後にある実質的な権力(軍事と金融、諜報)で、2匹目がその履行器官としての貨幣と、マスメディアともみれる。
 第1の獣の、頭におった致命的な傷が治ってしまったというのは、アメリカが自国の国是でもある市場原理の破たんを、黒魔術を経て立ち直ったようなことにあたるともいえる。「第2の獣は、獣の像に息を吹き込むことを許されて、獣の像がものを言うことさえできるようにし、獣の像を拝もうとしない者があれば、皆殺しにさせた」これは、テレビの象徴ともいえなくないか?「皆殺し」というのは原始的だが、対テロ戦争、TPP、原発に対してテレビの言うことを聞かず、本質的な疑義を、真剣に訴えてゆこうものなら、政界、ジャーナリズム、芸能界、学会などの表舞台から、結果的には抹殺されている。そして、人々は、道理に従うのではなく、道理を踏み倒しながら再生してゆく、この獣の刻印を持った貨幣の力に従わない限り、買ったり売ったりできない。
 これが、神の子羊が、あるいは、まっとうな「道理」を主張しようとする者が、「蛇のように賢く、鳩のように素直に」(マタイ福音書10)生き抜かなくてはいけない、狼の世界、現実世界の実体なのであろう。ヨハネの時代は、ローマ帝国がそうだったのかもしれない。 



ヨハネの黙示録 13章聖書 新改訳 (日本聖書刊行会

1 また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった。
2 私の見たその獣は、ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口はししの口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と位と大きな権威とを与えた。
3 その頭のうちの一つは打ち殺されたかと思われたが、その致命的な傷も直ってしまった。そこで、全地は驚いて、その獣に従い、
4 そして、竜を拝んだ。獣に権威を与えたのが竜だからである。また彼らは獣をも拝んで、「だれがこの獣に比べられよう。だれがこれと戦うことができよう。」と言った。
5 この獣は、傲慢なことを言い、けがしごとを言う口を与えられ、四十二か月間活動する権威を与えられた。
6 そこで、彼はその口を開いて、神に対するけがしごとを言い始めた。すなわち、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちをののしった。
7 彼はまた聖徒たちに戦いをいどんで打ち勝つことが許され、また、あらゆる部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。
8 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、世の初めからその名の書きしるされていない者はみな、彼を拝むようになる。
9 耳のある者は聞きなさい。
10 とりこになるべき者は、とりこにされて行く。剣で殺す者は、自分も剣で殺されなければならない。ここに聖徒の忍耐と信仰がある。
11 また、私は見た。もう一匹の獣が地から上って来た。それには小羊のような二本の角があり、竜のようにものを言った。
12 この獣は、最初の獣が持っているすべての権威をその獣の前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷の直った最初の獣を拝ませた。
13 また、人々の前で、火を天から地に降らせるような大きなしるしを行なった。
14 また、あの獣の前で行なうことを許されたしるしをもって地上に住む人々を惑わし、剣の傷を受けながらもなお生き返ったあの獣の像を造るように、地上に住む人々に命じた。
15 それから、その獣の像に息を吹き込んで、獣の像がもの言うことさえもできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。
16 また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。
17 また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした。
18 ここに知恵がある。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさしているからである。その数字は六百六十六である。





イラク戦争の原因と結果には、アメリカの正体が余すところなく、表現されている。
岩上安身のツイッターリツイートされていたので、見ることができた記事。TPP問題の英文記事も訳していた所である。
まさしく、アメリカの作り出しているヨハネの黙示録的世界である。


十年後のイラク
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-ca64.html

Paul Craig Roberts
2013年3月18日

2013年3月19日。十年前の今日、ブッシュ政権イラクを侵略した。侵略の正当化は、国連とアメリカ国民を騙す為、ネオコンブッシュ政権がでっちあげた嘘の塊であったことが知られている。

当時のアメリ国務長官コリン・パウエル大将は、ブッシュ・ブレア政権が嘘であることを知っていた偽諜報情報で国連を欺く為に、自分がブッシュ政権に利用されたことに対する遺憾の意を表明した。だが、卑しむべき売女マスコミは、腐敗したブッシュ政権の嘘宣伝省として仕えたことを、アメリカ国民に詫びていない。

腐敗したブッシュ政権、それを可能にした売女マスコミ、あるいは明白な戦争犯罪アメリ憲法に対する犯罪、アメリカ成文法に対する犯罪、人類に対する犯罪で、ブッシュ政権を起訴することを拒否した、腐敗したオバマ政権、いずれが最も卑しむべきなのかを見極めるは困難だ。

著書「Cultures Of War」の中で、著名な歴史学者ジョン・W・ダワーは、20世紀の日本と、21世紀のブッシュ帝国大統領が解き放った戦争の具体的な行為で“拷問や他の犯罪等のあからさまな戦争犯罪を比較分析したくなると述べている。大日本帝国の不正な行いは、国の名誉と名声に、消せない汚点を残したが、アメリカの評判に対する打撃がどれだけ続くかは時間がたたなければわからない。この点、連合軍が第二次大戦後の日本とドイツに対して追求したものとは到底比較にならない、正式で本格的な調査から逃れることができたブッシュ政権の戦争立案者達は幸運だ。”

ダワーは、アーサー・シュレジンガー Jr.の言葉を引用している。“[ブッシュ]大統領は、かつてアメリカ大統領が屈辱に生きる日となろうと言った日、真珠湾大日本帝国が採用していた政策に恐ろしいほどよく似た‘先読み自己防衛’政策を採用した。フランクリン・D・ルーズベルトは正しかったが、今、屈辱の中に生きているのは我々アメリカ人だ。”

アメリカ人は、屈辱の中に生きる恥の為に、莫大な金額を支払った。ジョセフ・スティグリッツとリンダ・ビルムズは、アメリカ人納税者が負担するイラク戦争の戦費は、3兆ドルと計算した。この推計は楽観的にすぎる可能性がある。最新の研究は、戦争はアメリカ人納税者に、二倍の費用負担をさせる結果になりかねないと結論している。http://www.reuters.com/article/2013/03/14/iraq-war-anniversary-idUSL1N0C5FBN20130314

アメリカ軍安保複合体の懐へと流れ込み、そこから政治献金へと向かう利益をまかなうために、アメリカ国民は、社会保障制度、メディケアや、社会福祉制度が可能にしている社会的まとまりを失う危機に瀕している。

(中略)

7ないし8ヶ国で、イスラム教徒を不当に殺害することで、ワシントンはイスラム教徒の反応に火をつけた。アメリカ合州国に対する激しい憎悪だ。この反撃は、ワシントンによって“テロ”と名付けられ、対テロ戦争は、軍事複合体と、アメリカ国民を、自らの政府のテロからは守らないが、テロから“守る”為の、警察国家の果てしない利益の源として機能している。

大多数のアメリカ国民は、余りに虚報漬けで、実情は理解できず、ごくわずかの、実情を理解し、他の人々に警告しようとする人々は沈黙させられる。21世紀は、人類の歴史の中で最悪の世紀の一つとなるだろう。欧米世界の至る所で、自由は死につつある。