Europe2020による国際情勢分析

Europe2020報告の最新版 
The de-Americanisation of the world has begun – emergence of solutions for a multipolar world by 2015
http://xfru.it/kJSOQz


 Europe2020は、2006年からドル基軸通貨によるアメリカ覇権が機能しなくなると粘り強く指摘してきたが、さすがフランス、まだやってる。ローマ時代の覇権にまで歴史的にさかのぼり、かつ、現代のホットな政治経済情勢を米批判的に掘り下げている。2020年の秩序を見据えようとしている。私は2006年3月の基軸通貨ドルの危機を現実味をもって訴えるこのシンクタンクの第第一声を阿修羅掲示板で知ってから、時々ウォッチしていた。「ドルを使うのは帝国税を払うようなものである」というのは、記憶に残るこのシンクタンクの文言である。2007年のリーマンショック時には、このシンクタンクの予測が当たった部分があり、2ch経済板でも結構盛り上がっていたが、その後は予想外のアメリカ経済の延命が続くことから、私もチェックすることなく、メールが届くに任せていた。しかし、本日届いたメールを見て、今回の米国連邦政府デフォルト騒動は、Europe2020の分析がリーマンショック以来、久しぶりに晴れ舞台にでてもいいタイミングだと思われた。表向き、債務上限の引き上げについての攻防であるが、ここまでいたるまでの、さまざまな構造的問題をはらむ伏線があり、これは、一時的な妥協により解決できないものであろう。
 そこで、Europe2020のGEABNo78の公開分を、シコシコ電子辞書を引きながら読んでみた。引用されている2つのことわざが、内容を象徴している。一つは、「Trouble never comes alone」シリア攻撃での米国の恥、中央銀行量的緩和不能連邦政府の閉鎖、それが予想以上に長引くこと、こういった米国発の一線を越えたTroubleが連鎖的に起こってきている。メディアは、共和党のTeaPartyのオバマケアをめぐるゴネに焦点があたっているが、実際の所は膨大な債務が問題であり、今回の攻防をギリギリ乗り切っても、次の機会、Troubleがくる。次の機会も、政府閉鎖と世界経済の人質という戦術で乗り越えることは、さすがにできないだろう。カンフル剤だけで延命された、米国連邦政府の「信用」は、次なるTroubleを別の戦略で乗り越えられるか。戦争経済への道、有事演出の道は、見透かされ閉ざされている。国内大規模テロで、新たな敵を作るか?これも、すでにやっている。では、どうするか?TPPで日本人を痛めつけて雄叫びを上げながら搾取している姿を世界に見せつけ、それを米国政府の信用力に変えるのか?それが、オバマソフトパワーで、世界の信用を得られるのか?だが、大企業は租税回避の詐術をつかい、TPPの成果は税金として連邦政府に、そのままは、反映しないだろう。また、政府閉鎖騒動のタイミングが悪く、オバマはTPPを年内にまとめ上げるためのリーダーシップを発揮する機会をも失ってしまった。
 もう一つのことわざは、孫子からの引用、「when it thunders, it’s too late to cover one’s ears.」これはEurope2020のポジショントークになるが、結局アメリカといち早くデカップリングしている国、個人が米国破産の影響を最小限にできるという予測である。中国にも秋波を送っているのが目立つ。「Building a de-Americanised world」こういう主張は、数年前まではチャベスのような口の緩い人が述べていた言葉だが、現在は、公にこの言葉が、北京発でも述べられつつある。(ちなみにNSAを嫌ったブラジル発のネット構想もあるし、新地域基軸通貨を準備する動きもある)文中下の四角い図は、米国債保持者の内訳を示しており、3分の1が外国であり、「中国が弓を引いている」と言うのは、この人質となっている中国保米国債分を、どうするか考えているということが入っているだろう。日本は中国と同等分(1.1兆ドルと1.3兆ドル、約100兆円だ)をもっているが、Bossのために自ら手放すようなことはしないだろう。自分で人質になって自分の利権を守ってもらいたがる守旧勢力の国、日本は結果的にアメリカ覇権のための「人間の盾」だ。
 米国覇権が続き、TPP全盛時代の植民地国、政治経済的主権も「質」に入れられた2等3等国民になるのも、あるいは、米国覇権が崩壊し、多極化してゆくのも、いずれも、日本にとっては不都合な未来である。私は、米国の無法さ、その虎の威を借りる日本の検察行政の無法さから、Europe2020の言うような未来が来る方にどちらかというと加担し、多極化に備えて行動するべきだと思って、小沢一郎を支持していたし、今でもしている。そこまで見据えて動いているのは彼程度ではないかと思う。2008年頃、2ch経済板に「小沢一郎政治塾募集」のバナーが踊っていたのを思い出す。




【参考リンク】当時のスレッドが、検索するとまだでてくる。すごいもんだ。
アメリカ経済はすでに瀕死?Europe2020の警告-2
http://like2ch.com/ag/money6/eco/1180112666/1-
1 金持ち名無しさん、貧乏名無しさん=sage=2007/05/26(土) 02:04:26
とりあえず立てました
Europe2020は、昨年の2月頃から、ドルを中心とした経済体制が崩壊する日が近いと警告し続けているフランスのシンクタンク。下は先月号の記事。

ttp://www.europe2020.org/en/section_global/190207.htm

昨年3月にアメリカがドルのM3指標(世界中に出回っているすべてのドル量)を中止したこと、石油取引でのドル離れの着実な進行、さらにイラク戦争以降のアメリカ政府・国民に対する世界的な不信感の広がりもあいまって、現在の経済体制を支えているベルリンの壁ならぬ「ドルの壁」が崩壊する日が近いと述べている。