安保法制に関して、三浦瑠麗先生とのツイート記録

 平和を実現させるための徴兵制という視点で、私の提案と通じる結論にいたっている三浦瑠麗先生と、ちょっとだけだが、今加熱している安保法制に関するツイートで意見交換ができた。といっても、意見交換になっているような、なっていないようなものだが、原則的には、私のような匿名子に対して、実名を張っている「有識者」級の方が、返事をして相手をしてくださるだけでも、私は感謝をしている。その記録をとどめておきたい。

 この問題の私的な焦点は、2003年の米国のイラク戦争は、その開始から途中経過、当時、報道されたようなさまざまな嘲弄的な虐待や虐殺的な戦術の横行、これが感情的に「受け入れがたい」ことであるということである。この受け入れがたいという感情があるというリアリズムは、それに巻き込まれた欧州では特に一般化してきており、米国の進言を無視した、英国にはじまるAIIB参加にみるような政治的行動というのも現実化しつつある。日本は、非戦闘地域で給油したり、金を出したりするだけで、血をみるまでは巻き込まれず、加えて、これまでの中東支援もあり、深刻なテロにはみまわれていないから、イラク戦争とそれがもたらしている現実の「受け入れがたさ」を、ISによる人質殺害はあったものの、本当の意味でリアルには感じることができていないのだろうと思う。この2003年からの歴史を無視して進んでいく日米安全保障同盟のリアリズムというものも、だから、私には受け入れがたいわけだ。主権者の一人の、そういった感情からはじめることができる、立憲主義国家の安全保障、同盟というものは、今の現実社会でどうありえるだろうか。それを共有できる欧州との同盟の方が、よほど私にとっては「リアリズム」にのっとっているし、日本国憲法も毀損しないだろうが、一方で現実の同盟相手は米国というリアリズムがある。

 とにかく、問題を幅広い視点で正直に描写していくことが、きわめて大事であると思う。





三浦瑠麗 Lully MIURA 6月6日
安全保障政策はリアリズムが大事。経済政策は資本主義をうまく機能させることが大事。社会政策は多様性が大事。そして何より自由が大事。以上をもって中道リベラルと言っておりますが自己申告ではダメでしょうかね。



sarabande@lullymiura 米国のイラク戦争開戦や、ウクライナ危機でのヌーランドの策動、イスラエルの昨年のパレスチナ攻撃、こういった安全保障上の混乱のファーストインパクトをリアルに認識、批判するのが、世界的なリアリズムではないでしょうか。今の政権では上意下達のみでここが欠けています。



三浦瑠麗 Lully MIURA  6月11日
@HSarabande 同盟の当事者である政権に学者並みの中立性を期待するのは難しいでしょうけれど、左派陣営が反米でありすぎるためにかえって同盟を強調しなければならなくなったり、またはリアリズムが足りなくなるということはあるんでしょうね。上意下達の部分は本当に困ったことです


@HSarabande とはいえですよ、ある程度実務家や現場の置かれた立場を知れば安全保障を政治の道具にする人々と安保法制反対でまとまる気にはなれないですね。




sarabande
@lullymiura イラク戦争にせよ、リーマンショックにせよ、アメリカが何か「受け入れがたいこと」を、世界に対してやるようになってしまったというコンセンサスの広がりも、一方のリアリズムとしてみておく必要があると思います。


@lullymiura それを受けてのオバマ誕生で、彼はイランに対しても、最近のイスラエルに対する態度をみても、一貫したものを示しています。しかし、一方で火事場でのヌーランドさんのような、おそらく世界的にも「受け入れがたい」動きもあります。


@lullymiura 今の安保法制の議論とその引き起こす周辺事態をみると、アメリカの示すジキルとハイドの分裂した2面性の内、知性を否定してゆくハイドの方に引きずられ呑み込まれていくようにみえるわけです。その流れを「リアリズム」というのは、平和や人権の放棄に繋がります。


@lullymiura 日本側からみると、平和憲法というジキル博士の中から、米国のハイド氏に触発されて、「フリーダム」と叫びながら、日本のハイド氏がでてきたようにみえます。米国のハイド氏への免疫をつける方策を独自に考えた上で、ジキル的でない日本の防衛を考えるのが一番ですね。



三浦瑠麗 Lully MIURA 6月11日
参考人としての小林節先生『憲法を改正しておく道を残しておかないと憲法が破壊される』この言葉の重みですなぁ。これは特に国会議員へ向けられたものだろうが、国民についても言えることだ。自戒を込めて。



sarabande
@lullymiura この見解は、日本人がみずから9条を改正しないと、結局、極右にやられることになるという、ウォルフレンの認識に通じますね。安保法案を、もし日本国憲法の底力でペンディングできたとしても、その後、別の道で前にすすむ頭と足が日本人にあるかが問われると思います。






【関連ツイートと、AIIB加入から続く欧州の動きのリアリズム】


 そうなると、極論をいえば、米国とか、イスラエルとかの同盟関係を整理する必要が生じる。米国とかイスラエルが、脅したり、嫌がらせしたりする悪い国でなければ、日本国憲法を頂く立憲国家の代表者が、そういう議論をすることができよう。私が提唱していたのは、そういう覚悟を抱く国となるための徴兵制でもある。

 世界の平和、非侵略的な世界を構築するというのも、各国がそのくらい覚悟しないと、なかなか困難であろう。ただ、スイスはそれに近いことを、やらかしてはいるのだ。



【過去記事紹介】2014-5-18 『立憲国家の防衛論 試論』
http://d.hatena.ne.jp/sarabande/20140518
パウエルの首席補佐官だった、ウィルカーソンは言う。「こういった誤った情報による戦争は今後も繰り返される。われわれはまったく学んでない」「米国は唯一の超大国だからイラク戦争のようなことはやるべきでないが、またやるかと聞かれれば、『絶対にやる』と言える」


 憲法の基本原則が大きく異なる国との間で、安全保障条約を締結するさいに、何を危機とするか、そのさいにどのような軍事的な行動をとるのかということについて、深刻なコンフリクトが起こるだろう、そして、それを解消するためには、どういう方策があるのだろうという思いから書いた記事であった。今起きていることは、思考実験的に逆から見れば、米国民に、日本の憲法九条を呑ませるようなことをやっているのだ。米国憲法とその解釈で生きてきた米国民にとっては、受け入れがたいだろう。だが、米国が憲法九条をかりにのんだらどうするか?集団的自衛権で、米国を守る気になるだろうし、「日本国憲法の精神にのっとって」国を守ると宣誓している自衛隊員も、心おきなく働ける。ただ、それは米国が日本のような国になるということを意味するだろう。だから、さらに逆、今回の集団的自衛権発動に関する法案により、日本が米国のような国になるということを意味するのだろうと思うわけだ。
 歯止めや免疫が必要ではないか。「日本会議」にそれができるだろうか?過去にさかのぼれば、答えは予測できないだろうか。





田中宇の国際ニュース解説 「イスラエル支配を脱したい欧州」http://tanakanews.com/150612israel.htm を受けて】

「反ユダヤ」取締りのふりをして、イスラエルパレスチナでの人権侵害を批判する人々を攻撃しようとするイスラエル右派の動きは、論争のすえ、市民運動内部で拒否された。欧州のあちこちでこの手の戦いが起きている
/昨年の夏の問題は、一過性ではないと思う。「受け入れがたい事」が起きた。


EUは、イスラエルの入植地で製造されEU諸国が輸入した商品に、入植地で製造されたことを示すラベルを貼ることを義務づける新法の制定を検討している。ラベル義務化は、イスラエルボイコット運動家たちによるEU各国への政治行動の結果だ。
/この進行もリアリズムである。


イスラエル政府は、完全に右派に牛耳られている。3月にネタニヤフら右派政党が圧勝した選挙後に作られた新内閣は、外務大臣が置かれていない。イ外務省は、和平推進の中道派の牙城だったので外相が置かれず、ゴリゴリの右派の外務次官のみが置かれ、外務省の管轄は6人の閣僚に分割、事実上解体。外務省を解体し、和平の拒否を半ば公然と表明するイスラエルの右派政権は、実は非常に馬〇。欧州も米国も、イを評価できなくなりボイコット運動が世界的に勃興。イ右派は、自国を亡国の危機に追い込んでいる。右派の多くは1960−80年代に米国から移民してきた。過激な中東政策で濡れ衣的なイラク侵攻を挙行し、米国の覇権を浪費した「ネオコン」はその一派だ。

/この辺が、世界の安全保障上の癌の中枢だと思う。巨大な資本力と通じ、欧州、米国の政治家を恫喝する力がある。安倍もそこに親和する。イスラエルの前回の大統領選のテレビ報道をみたが、アメリカ大統領選以上に、なにか病んでいる。恫喝するような露骨な脅威をテレビであおり、支持を求める。その候補者が、演説会場で、防弾ガラスで客席から隔絶されている。この一線をこえた感じが、日本の右派に伝播しつつあるのを、憂慮している。

 田中宇氏は、ホロコーストに対して、過剰宣伝ではないかと言っているが、この点は、私は、そこまでは言い切れない点は加えておく。


【欧州の動きとしてのTTIPの見直し】
岩上安身 ‏@iwakamiyasumi · 6月11日
とても重要。欧州は、TPPの米欧版ともいうべきTTIPに、ISD条項が入っていることを理由に延期決定。また、TPPが対中戦争のために、米国が太平洋諸国をブロック化し、法的支配を行う戦争準備なのだとするジェーン・ケルシー講演も。http://s.webry.info/sp/antitpp.at.webry.info/201506/article_1.html