国会事故調報告を反映した原子力規制委員会人事を求める

 国会による原発事故調査委員会は、今回の原発事故は、規制する側とされる側の立場が逆転し、原発推進派による意図的な隠蔽、不作為が横行したことが直接の原因であり、自然災害ではなく人災である結論づけた。この結論に真摯に向き合うことをまったくせず、野田日本政府の提出した今回の原子力規制委員会の人事案では、人災の原因とされた事故前から規制される側に立ってきた者、つまり、原発事故を起こした当事者が、規制する側に、法的なお墨付きと強力な独立性をもって、迎え入れられようとしている。それも、彼らの責任を、実質的には微塵も問うことはなくである。
 これだけの世界的歴史的な原発事故を起こし、問題点を洗いざらいして立ち直ろうとしている現在の日本にとって、この人事案は、まさしく国辱的である。この人事案に過半数の政治家が同意するということは、日本人は科学者をつかって核発電の真似事ぐらいはできるが、それの生む巨大な利益と組織にがんじがらめになってしまい、今回のように海洋を通じて深刻な影響を広く世界に及ぼす事故を起こしたにもかわらず、その組織を改革してゆく能力のない劣等民族であるということを、世界に向けて証明することになる。これは、日本のみならず、世界にとっても、暴挙であると思う。
 今回の規制委員会の人事案は、福島第一原発事故を受けてどのように日本人が立ち直るのかを決めるものであり、世界的に注目されていることだと私は思う。国会議員におかれては、崩壊したムラの論理ではなく、世界に恥じない「公」の論理を通していただきたいと思う。



以下、記事引用
「明らかに人災」 国会事故調の報告書要旨
MSN産経ニュース 2012.7.6 00:16 (1/4ページ)[原発
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120706/dst12070600180001-n1.htm
 国会に設置された事故調査委員会がまとめた報告書の要旨は以下の通り。

 【事故は「人災」】

 事故の根源的な原因は、東京電力福島第1原発が、地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆(ぜい)弱(じゃく)な状態だったことと推定される。

 今回の事故は、これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局と東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことで、安全対策が取られないまま3月11日を迎えたことで発生した。

 規制当局と東電との関係では、規制する立場とされる立場の「逆転関係」が起き、規制当局は電力事業者の「虜(とりこ)」となっていた。安全についての監視・監督機能は崩壊していたと見ることができ、いわゆる「規制の虜」だった。何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑(かんが)みれば、事故は自然災害ではなくあきらかに「人災」だ。



「国民性が事故拡大」 英各紙、国会事故調報告に苦言
MSN産経ニュース 2012.7.8 09:11 [原発
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120708/dst12070811130003-n1.htm
 【ロンドン=内藤泰朗】東京電力福島第1原発事故の国会事故調査委員会が5日に最終報告書を提出したことについて、英各紙は日本文化に根ざした習慣や規則、権威に従順な日本人の国民性が事故を拡大させたとする点を強調し、「日本的な大惨事」に苦言を呈する報道が目立った。

 ガーディアン紙は「フクシマの惨事の中心にあった日本文化の特徴」と題した記事で報告書の前文を引用し、島国の慣習や権威に責任を問わない姿勢が事故原因の一端にあるとする報告書の内容を伝えた。6日にも「文化の名の下に隠れるフクシマ・リポート」と題した記事で、「重大な報告書と文化を混同することは混乱したメッセージを世界に与える」と批判した。

 一方、「非常に日本的な大惨事」との見出しで報じたタイムズ紙(6日付)も「過ちは日本が国全体で起こしたものではなく、個人が責任を負い、彼らの不作為が罰せられるべきものだ。集団で責任を負う文化では問題を乗り越えることはできない」とコメントした。



田中氏だけでなく、更田氏、中村氏も欠格人事――原子力規制委は「違法性ムラ」
週刊金曜日 8月23日(木)17時44分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120823-00000301-kinyobi-pol

 原子力の規制を主眼とする原子力規制委員会の委員(長)候補について「違法性がある」との指摘が、八月一日、衆議院第二議員会館の院内集会で提起された。

 提起したのは脱原発弁護団全国連絡会の河合弘之、海渡雄一両弁護士。両氏が指摘しているのは、委員候補のうち更田豊志氏と中村佳代子氏。原子力規制委員会設置法の七条七項三には「原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理若しくは廃棄の事業を行う者、原子炉を設置する者(後略)」については「委員長又は委員となることができない」と定めている。

 更田氏が勤める日本原子力研究開発機構は使用済み核燃料の「再処理」を事業内容の一つとしており、高速増殖炉もんじゅ」の設置主体。中村氏が勤める日本アイソトープ協会も、原発の「廃棄」を手がけており「法が定める欠格要件にぴったりあてはまっている」(海渡氏)ことになる。

 このことを本誌が内閣官房原子力規制委員会準備室に尋ねたところ「要件は、委員に任命される時点での話。委員に就任する時に辞職していれば法には抵触しない」と説明した。

 委員長候補に挙がっている田中俊一氏についても、同氏が勤める高度情報科学技術研究機構の昨年度の収入合計額七億一二二一万円のうち、五億二〇八九万円が、更田氏が勤める日本原子力研究開発機構からの事業収入であることが、社民党服部良一衆議院議員の調査によって明らかになった。

 田中氏は八月一日、衆参の両院議員運営委員会で「(原発事故は)どんなに反省しても反省しきれるものではない」と述べたが、その実「原子力ムラ」との密接な関係は絶っていないようだ。

 野田佳彦首相は三日、規制委について「適任だと思う」として人選見直しの素振りすら見せていない。「脱原子力ムラ」はいよいよ字面だけの話になりつつある。