森麻季によるヘンデルのアリア

 本日、NHK FMの毎日やっている夜のクラシック番組を、午後9時頃聴いていたら、この曲が流れてきた。曲調は知っていたが、改めて聴かされると、ヘンデルの非常にいい部分がでた、艶と芯がしっかりあるメロディーだと胸に来るものがあった。彼の曲は、メサイアや、バイオリンソナタぐらいしか(水上の音楽もそうか)、しっかり通して聴いたことがないのだが、それだけでも、彼のつむぎだす音楽の、独特の健康さを感じさせる、非常にしっかりした美しいメロディーの個性がわかる。バッハの音楽とは異なった、単純で崇高な何ものかがある。ここには、歴史上ヘンデルの音楽しか到達できていない、そういう場所がある。
 ブログに上げてみるかと、Youtubeを漁ってみると、いろいろあるが、オペラ全体の中での、この場面をあげたものはみあたらず、演奏会形式のものがほとんどだ。イタリア、フランス物とみてみたが、しかし、歌と演技の最も完成度の高いものは、日本のソプラノ、森麻季のものであった。本場ヨーロッパは大丈夫か?いや、森麻季が、みかけや名前だけでなく、本当にすごいソプラノなのかも知れない。


Maki Mori - Handel - Rinaldo: Lascia Ch'io Pianga .
http://www.youtube.com/watch?v=dDnChUrpNoE


 これは、ヘンデル作曲、ジャコモ・ロッシの台本のオペラ≪リナルド≫中の、アルミレーナのアリア。wiki引用させてもらうと、「エルサレムイスラーム側の魔法使いの囚われの身になったアルミレーナが、敵軍の王アルガンテに求愛されるが愛するリナルドへの貞節を守るため「苛酷な運命に涙を流しましょう」と歌うアリア」とのことである。

【歌詞】
Lascia ch'io pianga mia cruda sorte
過酷な運命に涙し、
e che sospiri la liberta.
自由に憧れることをお許しください。
Il duolo infranga queste ritorte
私の苦しみに対する憐れみだけによって、
de'miei martiri sol per pieta.
苦悩がこの鎖を打ち毀してくれますように。



Youtubeで途中、字幕がでるが、この訳も味わいがある。といっても悲劇の詩だ。
【字幕歌詞】
この苦しみを打ち壊してください
私の心の中にある
この苦しみの鎖をお慈悲ですから

涙の流れるままに
むごいこの運命を嘆かせてください
自由にあこがれるままにさせてください