笠間検事総長による犯人隠避

 先日、リンク紹介で述べた、「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」が、笠間検事総長以下、昨年1月段階での、検事総長・次長・東京高検検事長・次席・東京地検検事正・次席、すなわち、最高検・高検・地検の幹部を犯人隠避で告発した。


IWJによる今日の記者会見動画 
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/21672


 田代検事の不起訴決定を受けての、ごく当然のアクションではあるが、告発する相手が検事総長他の、検察最高幹部陣なので、常軌を逸した行為に映る。事情を知らない人には、八木某という無名女性ボーカリストが「検察組織は、影の犯罪組織である」という妄想体系に支配されて、彼女を教祖と仰ぐ市民団体が、荒唐無稽な告発を行ったとみられるかもしれない。
 しかし、最高検の「田代検事の記憶の混同」「作為はない」という弁解のみではなく、ネットがあったからこそオープンになってしまったテープ起こしの文章と、田代検事の報告書を、ざっと自分の眼でみれば、とてもそれが「記憶の混同」でできるような代物ではなく、一定の意図の元に構成された文書であることが明らかとなる。まったく専門的な知識をもたなくても、一般の市民でも、おかしさがわかってしまうレベルなのである。
 今回の告発は、告発する相手が、起訴をする組織そのものの検察の総長が含まれているため、だれが検事総長以下6人を、誰の指揮下に捜査するのかといった、想定外のことを想定してゆかなくてはならないものを持っている。しかし、ただただ、目の前に明らかになっている目を覆うような検察の違法行為を、そのまま、法に則って、告発してゆくこと、そのことによって、「真の検察組織」が、今の「現実の検察組織」を超えて、市民団体や、それを支援する法曹家、報道するマスコミに残る良識、それに反応する多くの市民などを動員しながら、再編成されてゆくものだと思う。今は、真の検察組織の姿が見えずに、荒野に一歩を踏み出すようなものであっても、その一歩が真実であるからには、そこに多くが集い、組織され、行動を起こして行くようなプロセスが続いていくものと思う。
 そして、検事総長がここまでして犯人隠避をするための巨大な利益が、権力構造が、日本のどこかにあるはずであるのだが、これを明らかにし、問題化してゆくことが、日本人の独立自尊、及び、本当の法治国家、議会制民主主義にとって、きわめて重要な一歩となる。これは、今後、もしかしたら、50年、100年かかるのかもしれないが、しかし、この一歩がないのと、あるのとでは、大きな違いがある。ネットがあったからこそ起きた一歩であり、小さい規模だが、同時進行している「紫陽花革命」の中の非常にラジカルな部分をなしていると思う。
 今回の被害者は、前回の村木さんと異なり、政治的な意味が大きいので表にでないが、検察審査会により強制起訴され、民主党員資格を長期間はく奪された小沢一郎氏である。彼は、今日、民主党を離党する会見をひらき、国民との約束を反故にした総理を弾劾し、荒野に一歩を踏み出した。今日は、政権交代の実質的な意味が終わった日ともいえるが、また、それを認めて、「真の検察組織」「真の議会制民主主義」を目指して新たな荒野に歩みだした日でもあると思う。