『トリスタンとイゾルデ』より、「イゾルデの愛と死」ピアノ編曲版

 ワーグナーの楽劇、トリスタンとイゾルデの最後の「イゾルデの愛の死」は、クラシック音楽の中でも屈指の名曲だと、個人的には思っている。さらに、ワーグナーの義父にあたるリストがピアノに編曲したものがあり、これも、ピアノ音楽の中でも、屈指の曲だと思う。初めて聞いたのが、ホロヴィッツの「Last Recording」に入っていたものだったが、この演奏がまたすばらしい。晩年の演奏でテクニック的にはやや衰えをかんじさせるものの、それは問題にならないような、テンダーで純粋で、かつ自由な音楽のスピリットに満ちている。You Tubeのコメントも、味わい深い。

Horowitz plays Wagner-Liszt Isolde's Liebestod
http://www.youtube.com/watch?v=hAi7dnvNCw0

「I remember the first time that I listened to this piece; It was around October 2008, 10AM. I had tears in my eyes.」


 それから、最近発見した、岡城千歳というピアニストによる、Moszkowskiによる編曲の演奏。このYou tubeをみて、CDを購入したのだが、これも、ホロヴィッツ並みに素晴らしいものであった。同じ編曲で別のピアニストによる演奏がYouTubeに入っているが、岡城の演奏とは、比べ物にならない。岡城のピアノは、ホロヴィッツなみのエスプリが随所に効いていて、安心して最後まで身を任せて聞いていられる。こういう音楽は、録音でもなかなか巡り会えない。 
 Moszkowskiはリストの弟子で、この曲はリストに献呈されてるとのことだが、ピアノの音の使い方は、より繊細で自然である。YouTubeのコメントも、大げさではなく的を得ていると思う。ピアノ音楽にとっての、貴重なギフトである。

Wagner: Piano Transcriptions by Chitose Okashiro
http://www.youtube.com/watch?v=sh6oTN0wHL8

「It is very interesting to hear this transcription. Moszkowski's was an incredible gift for writing for the piano!」