浜名湖一周サイクリング

 何年か前からだろうが、3月の終盤の日曜日に、浜名湖を一周するサイクリングイベントが開催されている。サイクリングをするようになった昨年に、このイベントがあることに気づき、長距離を走りきるいい経験になると思って参加している。全長は、80Kmで、完全にではないが、かなりの距離を、湖岸に造られた自転車専用道を走り、特に、24日は風も弱く、天気もやや曇りがちだが、まずまずであったので、快適な走行ができた。
 長い距離の中でも、実際に走ってみた感覚から、「サイクリングしていて、湖面の眺めもよくて、自然ものどかで、気持ちがいいな」というスポットを挙げると、一つは、浜名湖サービスエリアから南に下っていった、都筑から大崎にかけての道で、マリンショップの並ぶ湖岸の細い小道を南下してゆく所がある。湖岸を左に、野の花や木立を右にしながらの走行は、気持ちのいいものである。また、浜名湖の最も北西に位置する、三ヶ日駅前後の、猪鼻湖岸の道もよかった。波もほとんどなく、静かな湖面に、みかん畑の斜面が背景として眺められる。また、ちょっとしたリゾート地を思わせる、浜松らしからぬ、コテージや、低層のマンションなんかもあって、いい雰囲気をただよわせていた。この2つは、浜名湖北西側に位置しているが、この地域は風向きがほぼ西風だから、弁天島から細江までの東岸を走っているときのように、吹きさらしにほぼ合わなくて済むのも、快適さを生んだかもしれない。
 猪鼻湖をすぎ、みかん山のヒルクライムを終え、終盤に入ってくると、さすがに臀部ガ痛くなり、足の動きの勢いも鈍くなってくる。最後の20Km程度は、快適さを通り越して、正直なところ、苦行の域に入っていった。湖岸道もほとんどなくなり、あまり面白くない通常道をひたすら、終着点に向けて、ペダルを回しているような状態となる。こういう脚の疲れてきたときほど、ペダリングを、膝に意識してまわすのではなく、股関節を中心に大きく回すようにすることで、軽い感じでまわせる感覚を取り戻すことができた。体幹筋をつかいながらペダリングする脚腰の使い方を、体感できていたのだと思うが、苦しい中でも、いい経験にはなった。こういうペダリングをして、ペース配分してゆけば、自分でも80Kmぐらいの距離だったらこなせるかもしれないという実感がでてきた。
 参加者は、ほとんどドロップハンドル、ロードタイプの自転車で、専用のウエアを着ていたので、私のような普段着の延長で、錆びたクロスバイクでという者は、珍しい部類だった。あまり意識的ではなかったが、終えてみて、自分としては、これも「行」のひとつとみていいだろうと思う。体を使った行だけではなく、「観水」、「観木」というのも、観無量寿経にも出てくる観想のひとつでもある。