岩上氏の選挙前インタビューから見えるもの

 昨日、この1週間程度の岩上さん選挙前取材ツイートを見て回ったが、おぼろげながらアベノミクスの正体が、みえてきたし、日本の構造的な問題も、わかってきた気がした。すでに、日本は輸出立国ではない。以前の輝かしい日本製造大企業は、既にグローバルな所へテイクオフしている。1990年代後半に本格的にこれが起こっていたと思う。ノスタルジックに、80年代ぐらいまでの好景気、雇用の充実に資本の論理に反して戻すことは、プーチンロシアのような強権的な権力発動を要するだろう。ただ、ロシアのような土地に根差した資源産業と、現地生産や広範な部品商品の市場流通に根差した製造業は異なり、日本にプーチンが現われても、日本国の下に企業を取り戻すことは、困難かもしれない。だから、逆に、日本国政府がTPPのような米国ルールの資本、市場の論理の中に、屑債権を生んで格付け、法を売買し、細かい条文の網の目にからまれるような詭弁の中に、組み込まれてゆく方向になっていっているのが現状である。
 高橋氏の話からアベノミクスの本当の受益者は、ヘッジファンド勢力、投機家たちということになるのだろう。これらの勢力は、米国発の屑債権格付け詐欺ショック(リーマンショックとトカゲのしっぽ切りのような名称が一般化し、本質を隠蔽している)で、米連銀の異常な規模の公的救済を得て生き延びた。米連銀の量的緩和が縮小方向に向かった時、日本市場でも株暴落が起きかけたが、緊密な連係プレーで日銀の黒田バズーカ2発目をはなつとなって、いち早く喜んだのが、彼らである。


(堤美香の参考ツイート)
11月2日 堤未果‏@TsutsumiMika NYの友からホクホク声の電話。日銀の金融緩和http://twme.jp/boj/01CS とGRIPの年金株式運用拡大のWで外資・証券はお祭り騒ぎらしい。私達の年金がふっとぶ頃、今の閣僚達はもう退場してるね(怒)TVが黙殺した30日衆院予算委での細野議員の質問、これは観た方がいい。
細野豪志民主党)【衆議院 予算委員会平成26年10月30日|http://www.youtube.com/watch?v=wbSVbKJyBTo 


(田中宇の国際ニュース解説  2014年11月5日) 
米連銀と日銀が、タイミング、規模ともに、完全に連携していることがよくわかる。
2014年11月5日 米国と心中したい日本のQE拡大
http://tanakanews.com/141105japan.htm
日銀がQE拡大を発表する2日前、米連銀がQEをやめた。連銀はQEで、7月に350億ドル、8月に250億ドル、9月に150億ドルを増刷して米国債などを買い支えた後、10月に増刷をゼロにした。一方、日銀はQE拡大で今後、年に30兆円を増刷するが、この額は1カ月あたりのドル建てに換算すると200億ドル強だ。連銀のQEの最後の方の規模を、そのまま日銀が引き継ぐ感じになる。連銀のQEがドル増刷で、日銀のQEは円増刷という為替の問題はあるが、為替相場も事実上日米などの当局が管理しており、当局にとって為替は問題でない。米国のQEを日本が引き継いだといえる。


 彼らが「遊び場」日本市場に戻ってきて遊んでいると、暴落しかけた日経平均が上がって、「こいつは不思議だ、景気が良くなった」と、1990年代、テイクオフできずにとりのこされた非グローバルな地場日本人、ゆでガエルのように、徐々に茹でられてきた日本人が喜び、「アベノミクスすごい」となって、安倍の「これからがアベノミクスの本番です」に詐欺られ、清き一票を自民党に投じる。そんな構図が、この一連の岩上インタビューから浮かんでくる。
 1997年4月に自殺者が3万に急増するが、その頃グローバル化の圧力が、製造業界に本格的に及び始めていたと思う。長期信用銀行がつぶれ、日産にゴーンが入り、英語ができないと企業では話にならないような風潮ができ始めた頃だ。自殺者が増えるというのは、その反対に、生き延びるために猛烈に努力している奴らも背景に膨大にいたはずであり、生き延びた結果、かつての日本型システムに組み込まれた製造業から「変態」して日本政府を頼みとしない冷酷な「多国籍企業」となり、テイクオフしていったものたちもいる。ここでテイクオフできる者とテイクオフできないものが日本社会でも分かれはじめた。このグローバル化への圧力は、やむことなく、今の今までつづいている。自殺者は、公的統計では3万を切ったとはいえ、1990年代初頭水準にはもどっていない。それは、それだけ、旧来型の地場日本人にとっては、適応するためには淘汰圧力が強い社会が続いているということだと思う。これは、日本少子化の大きな要因のひとつでもあると思う。



1.12月3日 高橋乗宣氏インタビュー


連投3RT@IWJ_ch1 3.岩上「浜矩子さんとの共著を連続で出されていますが、三菱総研の後輩だとうかがっております」。高橋氏「浜氏が三菱総研に入って、それからずっと、2人で経済予測を続けています。浜氏は、私の弟子であると思っています」


連投4RT@IWJ_ch1 4.岩上「GDPが2四半期連続でマイナスになりました。これは、大震災を超えるインパクトであると」。高橋氏「日本経済は、生産力がないというわけではないのですが、成長のエンジンがなくなっています。データを見ても、消費がわずかな伸びにとどまっています」


連投6RT@IWJ_ch1 6.高橋氏「設備投資については、新規の拡張型の投資は、国内でほとんど行われていません。中国や東南アジアに生産拠点を設け、そこの設備投資はしているのだけれども、国内での新規の設備投資はほとんどないのです」
(sarabandeコメント やはり、「トヨタ最高益」に象徴されるニュースは、「アップル最高益」と日本人にとっては、正味の所では変わらなくなっている。アベノミクスの受益者である日本の輸出製造業は、多国籍企業化しているのだ。)


連投7RT@IWJ_ch1 7.岩上「アベノミクスのシナリオとは、金融緩和で円安誘導し、輸出大企業が大儲けをして、トリクルダウンで賃金を増やす、というもののはずでした。しかし、ご指摘の通り、輸出が伸びていないということは、アベノミクスは間違いだった、ということでしょうか」


連投8RT@IWJ_ch1 8.高橋氏「その通りです。今や、企業は金が余っていて、資金余剰の状態です。法人税を支払う企業というのは、全体の3割。法人税OECD諸国並みの25%まで下げよう、と経団連の会長は言っていますが、ほとんどの中小企業は、法人税を払えない状態なんです」


連投9RT@IWJ_ch1 9.高橋氏「企業は、資金がないから投資をしていないわけではありません。企業の内部留保は蓄積されています。日銀の当座勘定がどんどん膨らんでいるような状態です。今、7兆9千億円。2012年の2倍以上になっています」


連投10RT@IWJ_ch1 10.高橋氏「異次元の金融緩和でジャブジャブにして、それをどこが使っているかというと、国際的なヘッジファンドに流れているわけです。日銀が国債を買いまくっています。つまり、政府は、日銀の資金で財政をやりくりしているわけです」
(sarabandeコメント カジノが日本の成長戦略の目玉という安倍政府だけある。広く見れば、リーマンショック=米国の屑債権格付け詐欺ショックの本当の尻拭いが、日本に課せられてしまったのではないか。日本の円と国民の信用を棄損しつくして尻拭いを完遂する。)


連投11RT@IWJ_ch1 11.高橋氏「異次元の金融緩和で助かっている企業は、極端な話、ゼロだと言っていいでしょう。これは、極論すれば、戦時国債と同じです。市場性がない、相場とは言えないようなかたちになっているわけですね。これが、異次元の金融緩和というものの本質です」


連投12RT@IWJ_ch1 12.岩上「株価が上がっているから結構だ、と言う人がいますが」。高橋氏「余剰資金のかなりの部分がヘッジファンドに流れ、円安だから外国から資金が入りやすい。それで株を買っているわけです。相場師の運動場になっているのですね」


連投13RT@IWJ_ch1 13.岩上「これは、バブルですよね」。高橋氏「まー、バブルと言ってもいいかもしれませんが・・・。空回りの相場ですよね。円安も株価を持ち上げるわけですが、株価だけが上がって、実体がともなっていません。まあ、株バブルと言ってもいいかもしれません」


連投16RT@IWJ_ch1 16.高橋氏「量的緩和も、法人税減税も、どちらも的外れなんですね。今の日本経済がどういうかたちなのかということをきちっと理解できていなくて、かつての、高度経済成長期の輸出立国としての日本をモデルにしているに過ぎないんですね」


連投17RT@IWJ_ch1 17.岩上「しかし一方で経団連は、アベノミクスを持ち上げ、自民党に多額の献金を行うようになっています」。高橋氏「元気な日本を取り戻す、ということで、一般論の範囲でやっているのだと思います。政権と財界の癒着というよりは適当にあしらっているのが実態です」


連投19RT@IWJ_ch1 19.高橋氏「最先端の分野、例えば電子関係などは国内で設備投資をしていますが、大規模な投資はほとんど海外で、国内では老朽化したものの更新ばかりで、新規の設備投資はほとんどありません」


連投24RT@IWJ_ch1 24.高橋氏「日銀が国債を買っている量を減らし、市場に流すことです。もちろんバッと出すと暴落するので、徐々に出していくべきです。異次元緩和の第2弾の答えが、ムーディーズ格下げとして表れているわけです」


連投34RT@IWJ_ch1 34.岩上「移民と従来の日本人の間の軋轢が仮にないとしても、次世代の党の平沼赳夫氏は、街頭演説で在日外国人の生活保護をすべて打ち切る、ということを言いました。外国人をドンドン働かせるが、社会保障はしないよ、ということでしょう」


連投35RT@IWJ_ch1 35.高橋氏「奴隷制の現代版を日本でやろうということでしょう。しかし、そういうことを大物政治家が言っているというのは非常に怖いことです。成長のエンジンがなくなったということを申し上げましたが、それをどうやって正常化するかという政治が求められています」


連投36RT@IWJ_ch1 36.高橋氏「安倍総理は、さかんに地方創生ということを言っていますが、非常に空虚なものです。日本の地方には、素晴らしい技術的資産があります。山里が空き家だらけになっていますが、そこに人を戻すことが重要です」


(sarabandeコメント 極めて重要な認識だと思う)
QT@iwakamiyasumi @IWJ_ch1 岩上「輸出立国としての日本のモデルはもう望めない、と。しかし、グローバル化のなかで、テイクオフをした大資本と、地場に残っている中小企業とでは、途方もない距離ができているということですね」


連投38RT@IWJ_ch1 38.高橋氏「グローバル化した企業をもう一度引き戻すことはできないでしょう。日本経済を根本的に活性化するには、草の根を掘り起こすように、伝統的にあるすばらしい技術を活かしていくことだと思います」


連投40RT@IWJ_ch1 40.岩上「観光立国、という手もあります。伝統をアピールしていく必要がありますね。しかし安倍政権は、お台場に特区を作って、カジノを作るなどと言っています」。高橋氏「呆れて、ものがいえないですね」
(関連 IWJ 選挙特報 @IWJ_senkyo 12月3日
大義なき解散総選挙176】自民党の公約に、カジノ解禁を含む統合型リゾート(IR)の推進が追加されたことが3日、分かった。先月25日に公約が発表された段階ではIRの記載はなかった。(WSJ12/3))



連投43RT@IWJ_ch1 43.高橋氏「安倍総理歴史認識は、ものすごく後ろに向いているように思います。60、70年代、さらには戦前のことを考えているように思います。ですから私としては、安倍総理には早く退陣していただきたいと思っています」


連投44RT@IWJ_ch1 44.岩上「特定秘密保護法集団的自衛権など、日本は戦争の準備をしているように思います。しかし日本は、戦争ができるような財政状態なのでしょうか」。高橋氏「とても、そのような状態ではありません。例えば、期限のない国債を日銀に引き受けさせるとか」


連投47RT@IWJ_ch1 47.岩上「民主党は、厚く、豊かな中間層を復活させると」。高橋氏「掲げているテーマは結構だと思います。しかし、具体的なやり方が分かりません。豊かな中間層を復活させるということは、昔はあった、ということでしょうか。よく分からないですよね」


連投48RT@IWJ_ch1 48.岩上「維新の党は、水道事業の民間開放の他、インフラの民営化を訴えています」。高橋氏「外資に買われてしまう、ということが念頭にないようですね」。岩上「ナショナリスティックなことを言うわりに、こういう点では売国的だと思えます」


連投52RT@IWJ_ch1 52.岩上「最後は、日本共産党です」。高橋氏「大企業の内部留保を一部活用すると言っていますが、誰がどう活用するんですかね。課税とは言っていないわけですから」




2.12月5日 服部茂幸氏インタビュー


続き3 「〜腕のいい詐欺師が現れさえすればその犠牲になろうとしている、つまり『だまされやすい人が次々に生まれる』場面といってもよい」。この警句を冒頭に掲げて、安倍政権の経済政策を腑分けしてみせた『アベノミクスの終焉』の著者・服部茂幸・福井県立大学教授に、明日、インタビュー。



続き5 「現在の異次元緩和も実際にはそれほどの効果をあげていない」と、服部教授は述べる。「この異常事態に気づかないとともに、それを隠蔽しているのは、政府・日銀であり、彼らに加担する経済学者である。逆に異次元緩和によって日本経済が復活を遂げていると思い込ませている」。



続き6 「アベノミクス前の日本経済は、欧米諸国と比べても、その回復は遅れていない。逆に異次元緩和開始後の経済成長率は、低迷している」と、意外な事実を服部教授は、指し示す。そして「ここから生じる自然な疑問は、異次元緩和には効果がないのではないかということであろう」と続ける。



続き8 「…そして、異次元緩和に政策効果があるのかという根本的な疑問は無視される」。なぜ、そのような過ちの継続が起こるのか。「経済政策は政治の一環」だからだ、と服部教授は説く。「力の強い少数者を利する政策は、しばしば政治的には有効な政策であろう」。



続き9 「…現在のアメリカの政治を動かしているのは、ウォール街の金融業者であるといわれている。アメリカの政策担当者と経済学者は彼らの利益を守ることによって、その影響力を確保している」。そして、こう続ける。「日本において、強力な少数者とは輸出関連の大企業である」。


続き11 「けれども、円安による輸出価格の上昇の結果、製造業の大企業の利益は急増した。それが本当に異次元緩和の成果だったのかは別として、有力な少数者の利益は結果的には守られた。こうして政策は続くのである」。アベノミクスは、「輸出企業に所得をシフトさせる分配政策」だったのだ。




3.11月30日 三木由希子氏インタビュー


以下、連投します。RT@IWJ_ch1 1.これより、2014年11月30日、東京都内で行なわれた「岩上安身による三木由希子・情報公開クリアリングハウス理事長インタビュー」の模様を報告ツイートします。


連投24RT@IWJ_ch1 24.三木氏「秘密指定、秘密保護というのは、必要のない者に知らせないことで情報漏洩リスクを減らすことなので、高度な秘密になればなるほど、限られた人しか見ていない。そこで正しい政策判断がされているのか、という問題があるのです」



連投25RT@IWJ_ch1 25.岩上「情報にミスがあったり、判断を誤った場合でも、外部から再検証できない」。三木氏「正しい判断のために秘密を持つ、という理屈なのですが、その情報が正しく伝わるかは別問題。秘密主義が強いと、誤った判断の原因になります」



連投35RT@IWJ_ch1 35.岩上「保守派や右派の人たちは北朝鮮や中国、ロシアを想定して、『日本国内にはスパイが活動している。もっと警戒すべき』と言います。しかし、そこで抜け落ちているのが、『米国を、どう警戒すべきか』なんです」


連投56RT@IWJ_ch1 56.岩上「各国で情報蓄積や有効活用が飛躍的に進んだのは、軍事情報からです。近代的な軍隊は徹底的に記録を残す。戦意高揚のために嘘の戦果を流したり、戦争の記録を破棄するような国家は負け続けます」



連投57RT@IWJ_ch1 57.岩上「日本は第二次世界大戦に負けた時、戦犯への責任追及を恐れて戦争の記録を焼きまくった。立ち上がる気もなく、ただ自分たちが処罰を逃れるために記録を焼く。あの時から日本は国家としてダメになったのではないか」



連投59RT@IWJ_ch1 59.岩上「私はソ連崩壊のプロセスを取材したのだが、レーニンが残虐な粛正を指示したメモまで保管されていて驚いた。国家には不都合な記録で、なかったことにもできたはずだ。しかし、大人の国は苦い事実も見極めるものです」


連投60RT@IWJ_ch1 60.岩上「日本の右派は苦い事実を見ないで、神話のようなことを言って歴史修正を図る。慰安婦はなかった、性奴隷ではないと書き換えていく。記録を焼いているのに、『強制連行の記録がないから事実ではない』と言う」