化学兵器としての核兵器

  Nature Scientific ReportsというNatureグループの電子媒体のみの雑誌があって、そこに昨年8月、つくば気象学研究所に福島第一原発事故後、早期に降り注いだ、放射性物質がどんなものであったのか解析した論文が掲載されていたのを、ツイッター情報で目にすることができた。


「Emission of spherical cesium-bearing particles from an early stage of the Fukushima nuclear accident」
http://www.nature.com/srep/2013/130830/srep02554/full/srep02554.html


 これは、放射性物質の人体や、あるいは、環境系全体への影響を「科学的に」考えるためには、非常に重要な知見であると思うのだが、あれだけ「美味しんぼ」の鼻血描写を非科学的だと叩いていた政府、NHKを始めとする奴らは、この重要な発見に、「鼻血問題について科学的検証の糸口がみいだされた」「これをつかって実験すれば、雁屋を叩き潰せる」と注目することもなく、全く無視を決め込んでいる。
 この放射能をになう物質的実体の一端があきらかにされたということは、例えば、水俣病では「有機水銀」が問題だと明らかにされたことにもつながるだろうし、ツイートでも述べたが、結核、らい病などの、長年原因不明で業病などとされ、差別されてきた疾患の「病原体」が明らかになったことにも匹敵することだと思う。原発事故後、東京の病院のX線検査室で、フィルムに点状に感光する現象があったということだが、感光させた原因物質も、この放射性セシウムPM2.5合金ではないかと思う。現在も、これからも長年つづくであろう、土壌汚染の原因物質でもあろう。
 これは、爆発的な核反応の結果、融解した核物質や金属が再集合して凝固し、生じるものではないかと思われるのだが、核弾頭による核爆発でも同じことが起こっているのではないか。そうなると、核兵器が、実際の所、残留放射能をまき散らす「化学兵器」でもあると証明されたことになるのではないか。そんな点も含め、ツイートした内容を記しておく。




1.論文日本語訳サイトの紹介と、この論文から広がる研究分野


福島核事故の初期段階における球状セシウム含有粒子の放出
http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2014/05/nature.html
この論文で、核事故によってもたらされた、遠距離にわたる土壌汚染と健康被害の原因物質が何か、その具体的な像があきらかにされていると思う。コッホが結核菌をみいだしたようなものだ。


「本研究は、事故初期段階(3月14日〜15日)に福一原発から放出されたCs含有球状粒子が存在することを初めて報告する。この粒子には鉄、亜鉛、そしておそらく他の元素が併存し、その直径は約2 μm。粒子中にこれらの元素が均等分布するため、内部的に混合し合金を形成していると結論する」


バンダジェフスキーは放射性セシウムを含むような「長寿命放射性物質」と名付けたが、それが、典型的なのは2.6μmの球体で、セシウム、鉄、亜鉛と、少量の塩素、マンガン、酸素を含有する「合金」であり、セシウム放射能量は、137、134、合わせて、一粒あたり約6.6ベクレルとなっている。


具体的に物質が特定されれば、もう一歩である。結核もらい病も、原因物質が特定されないときには、患者が差別され、不治の病や業病、転地療養、隔離政策などなされてきたが、原因物質がわかれば、それが人体へ影響する仕方としての病理モデル、あるいは、防護、治療(可能ならだが)も、思考可能となる


いわゆる、「ピカの毒」の毒、「放射能うつすぞ」の移されるもの、核爆発後に残る残留放射能の原因物質、それが、こういう放射性物質を含む小さな合金ということなのだろうとおもう。「金属の味がした」という証言と重なる。


皮膚、粘膜には、どう作用するのか、呼吸器、消化管にはいるとどうなるのか、これが骨髄に沈着するとどうなるのか、心筋にはいると、なにか悪さをしないのか、培養実験からはじまって、実験動物のエサにまぜる、吸入させる、水にまぜる、注射する、まあ、いろいろ実験はできるわけだ。


そうか、忘れていた。動物実験などせずとも、自民党と東電のコラボで安全神話ボケしたところで、津波到達前に全電源喪失し、福島第一で核事故を起こして、植物、動物、日本人のいる環境に、今は海にも、こいつを大量にばらまいたので、結果的に実験やってんだったな。ひどい奴らだ。日本人は、正当な怒りを取り戻さなければ、DVの共依存的被害者のように、さらに、散々な目に遭うのではないかと思う。A2-B-Cの最後の方で、夢から覚めたように現実への怒りを確認しようとする母娘のように。


この放射能おびた2μm程度の合金は、結核菌が「大きさ2〜4 x 0.3-0.6 µm」なので、丁度結核菌の縦の長さに類似している。細菌レベルの大きさだ。これが、生態系にばらまかれれば、感染するのではなく、動植物を問わず、各臓器に沈着してゆくのだと思う。


結核菌であれば、抗生物質によって死滅させることがでるが、この放射性合金は、抗生物質は効かない。可能性があるとすれば、適当に言っているのだが、合金をキレートして排出させるような、なんらかの相補的物質がありうるかもしれない。


ただ、体内からうまく排出したとしても、環境中、生態系中には、約30年以上にわたり、放射能毒性を発するような物質が拡散していることになるから、除染が無駄なように、このキレート療法も、雨のふる中におかれたバケツから水をくみだすようなものだろう。


ともかく、なにが「ピカの毒」なのか、その正体がわかりつつある、その有力な候補が正体をあらわしつつある、それだけでも、大きな発見である。ただ、東京の土地には、大阪の土地より、これが多い。具体的になれば、なにかが動きだすかもしれない。


PM2.5を「大気中に浮遊する微粒子のうち、粒子径が概ね2.5μm以下のもの」と定義すれば、この直系2.6μmの放射性セシウム合金の球体も、ほぼ、このPM2.5に入る。原発事故後に、あたかもこれまでなかったかのように、中国からPM2.5が押し寄せてきたと報道あるができすぎだと思う



2.化学兵器としての核兵器


今回の福島第一事故での、3号機爆発は、ほぼ核爆発であったことが、東電会見でも否定されてはいない。それが起きた頃、14~15日に筑波の研究所で、このPM2.5放射性物質を検出している。


残留放射能を担う物質的実体が、少なくとも一部明らかにされた今となっては、こうはっきり言えるだろう。核兵器は、単なる強力な爆弾ではなく、この残留放射能物質を拡散させ、長期的に生物被害をもたらすような「化学兵器」であると。


また、この長寿命放射性物質は、増殖はしないが30年以上にわたり、生態系内で分解されず生き残り、一見すると感染のような伝播を示すので、核兵器は「生物兵器」に準じた影響を示す。だから、核兵器は、「爆破効果に加え、化学兵器でもあり、生物兵器のような効果も示す」これが正当な定義だろう。


核爆弾を作成するどの過程で、核兵器のこういう甚大な影響について、軍事家が知ることになったのか、そして、それを隠蔽することに「決定した」のか、その時の道義的感情はいかなるものであったのか、この辺を、当事者に告解してもらいたい。


核攻撃を受けた日本は、そういうことになった政治的軍事的外交的経緯を猛省したうえで、その核攻撃の非人道性をしろ告発すべき立場にあるはずだ。それを、アメリカと一緒になって核の傘の中で隠蔽している。


 部分講和であり、場合によっては集団的自衛権の議論にもつながるサンフランシスコ講和条約が、このゆがみを生んだ根にあるのだろう。が、この「核の傘」というのに入って安心するという、安心は、強大な爆破力をもつ陰湿な生物化学兵器、この与える威嚇によってもたらされている。その被害を、世界で最も受けているのは、日本人であるのにだ。この非人道性を告発せずに、ニコニコして、自分の傷を深めながら核を受容している人が、多数派である。この調子では、労働行政、教育研究行政から、経済対策まで、同じゆがみが、蔓延してゆくような気がしてならない。敗戦の歴史にとどまらず、目前にひろがる、それに由来する放射性物質への盲目さと、その上での多幸的雰囲気、そして目をつぶされたうえでの被支配である。
 つくづく、この領域にもしっかりと目を見開き、判断をくだせたドイツがうらやましい。集団的自衛権行使云々ではなく、こういう所でこそ、日本が、ヨーロッパに肩を並べ得るような、一流国家なのか、やっぱり所詮、技術だけのエコノミックアニマルで、イエローDQNチンピラパシリ国家なのか、試されているのではないかと思う。